「アイスルビー」オーダーリングのご紹介です。

品目:リング
作品名: 「 千年紅 センネンコウ 」
地金:SV925
貴石:アイスルビー グリーンランド産
ハートカボッションカット 4mmx3.3mm 高さ 2.7mm

先日シンプルオーダーメイドのご注文で制作させて頂きました、お客様持ち込みの
「グリーンランド産アイスルビー」を使ったリングのご紹介です。


お客様からのご要望

地質学的に「最古」のものでありながら、温暖化によって近年ようやく出てきた「最新」の鉱物「アイスルビー」、その最新にして最古という点から「千年続く恋」というイメージで。
ハートの形やかわいらしい色とは反対に、「どこか苦しげで切なげ」そんなメージを組み込む。

貴石の検品画像

Hamamelisでお客様のルースを使用します場合は、ルースの状態を共有するために、テーブル面、ガードル、キュレートを撮影して画像データお送りしています。初期傷やクラック、また石留め時に破損の可能性がある箇所など予めお知らせしています。

細心の注意を払いますが、石留め時に貴石を破損させてしまうこともありますので了解を得たられる場合のみオーダーをお受けしています。またクラックが多い場合など貴石の状態によっては制作をお断りする場合もございます。

デザインに付いて
お知らせ頂きましたご要望を元に、ご予算に合わせてデザイン画を複数パターンご用意いたしました。フォルム構成としましては、「千年続く恋」「どこか苦しげで切なげ」をキーワードに背景となる大まかなストーリを設定して組み立ててみました。


今回お選び頂いたデザイン画

「どこか苦しげで切なげ」というキーワードを思いながら「アイスルビー」を拝見した時、アイスルビーの表情が「まち針で指を刺した時に出る小さな血の雫」に見えてきました。

生まれ変わりというものが在るという設定でのお話です、遠い昔の恋心が小さなきっかけで思い出されたらどうなるだろう、と考えました。 

千年を経た現代では、それを明確に、正確に認識できるとは限りません。

現代に転生した者は、現代の理の中に生きています。故に、その恋を本当の意味で体現することは叶わず、小説を読むように体験することしか出来ないのではと思いました。

ただ、その理の中でさえ、小さな痛みにより一瞬だけ微かに思い出される恋心をリングへデザイン化したタイプになります。

中石を囲う六角形のパーツの左上から、鋭いパーツがアイスルビーに向かって配置されています。正確には、アイスルビーの石座の下側までこの鋭いパーツは伸びています。このパーツが指に刺さってアイスルビーの血の雫が現れている様に見える構成を目指しています。

リング全体のフォルムは丸みを帯びつつ、頭頂の部分はエッジになっており鋭い輝きの出る印象を目指しています。これによってアイスルビーが映える様にしています。

制作ノート

最初に石座から制作しています。ハートカット石は石座もハート型なんですよ(´・ω・`)

石枠周りのパーツ製作。2つの地金を瞬間接着剤で張り合わせてヤスって同じ寸法のパーツを同時に制作しています(´・ω・`)

2つのパーツの間に空間を設けるために細いパーツを入れています(´・ω・`)

入れたパーツの余分な部分を取り除いて整えた状態(´・ω・`)

石座を組み合わせてロウ付け(´・ω・`)

リング部分はこんな感じです(´・ω・`)

すべてのパーツが組上がった状態(´・ω・`)

石留め風景(´・ω・`)


完成はこんな感じになりました(´・ω・`)

お客様からお知らせ頂いた「千年続く恋」と「どこか苦しげで切なげ」というキーワードからいろいろと想像を巡らせました。

人の寿命より遥かに続く人の想いが在るとすれば、それにはきっと「是非」は無く、純粋なエネルギーとして新しい理となるのかも知れない。 

そんな事を考えて今回のリングの作品名は「千年紅 センネンコウ 」とさせていただきました。

納品後お客様にはお気に召して頂けたご様子で何よりでした(´・ω・`)

以上、「アイスルビー」を使ったオーダーリングのご紹介でした(´・ω・`)