フルオーダー「腕時計用チェーンバンド」のご紹介です。

大変ご無沙汰しておりました、今回のブログは先日納品いたしましたフルオーダーメイド「腕時計用チェーンバンド」のご紹介です(´・ω・`)

今回のご注文はお客様お手持ちの腕時計に合わせたチェーンバンドのご注文でした。
基本デザインはお任せ頂きまして、モチーフのみ「鷹、鷲などの猛禽類モチーフ。羽モチーフを組み合わせて。」とご指定いただきました。


今回ご用意させていただきましたデザイン画

決定しましたデザイン案

今回決定しましたデザインはこちらになりました。連結パーツの「クラスプ」部分に「鷲」の飛んでいる形を配置しています。デザイン画では腕時計のラグに差し込まれる部分に「鷲の足」を配置していますが、この面は「鏡面のみ」となりました。またチェーン部分は一面カットする「喜平チェーン」となりました。


チェーン部分の制作工程

ペンダントで使用するシルバーチェーンは既成品を仕入れて使っていますが、今回のチェーンは線径4mmと大ぶりな事と、制作時のサイズ調整を行えるコマの大きさにするため自身で制作しました。

溶接後は熱い状態でねじって成形していきます。
大きな地金を均一に熱を加えたり、加工する工程が続きます。こういった内容を進めるにあたり必要となる道具や補助器具なども制作する良い機会となりました。

万力で固定してねじった後、全体にかかる「より」の癖を均一にする必要があります。
手びねり場合地金一つ一つに加わる力が微妙に異なるためねじった力で加わった「より」が不均一になり、チェーンとして使用する持ち上げた状態になると、くるくるまわってごちゃごちゃしてしまいます。ですのでねじた後は再度焼きなましを行い、金槌やローラーで加圧して整えます。

全体を整えた後は、喜平チェーン特有のカットをヤスリで施します。全体を均一にヤスリがけするために、平らな長い木材に松脂で固定して一気にやすります。


連結パーツの「クラスプ」も今回は時計に合わせた寸法と「鷹」のモチーフを配置するため一から制作しました。

地金の土台部分が出来た状態がこちらになります。今回はじめて時計に合わせたパーツを制作しました。時計と連結する部分は特に精密な削り出しや穴あけが必要なのを痛感いたしました。旋盤や機械加工の職人さんたちの凄さの片鱗を感じた一幕でもありました。


「クラススプ」部分に配置する「鷹」のモチーフはWAXで制作しました。羽根一つ一つが輝くようにぷるんとした形を目指しました。


地金になった「鷲」を溶接後、「補助のクラスプ」を側面に配置します。クラスプ部分は長期的にバネ性が保たれるようにk18ygの丸線で制作しています。


硬化の熱処理や硫化のいぶし処理を終えた後いよいよ仕上げの研磨です。


完成はこちらになります。

作品名:「銀鷲 時繋」
地金:925銀 補助クラスプK18YG

今回の製作期間はチェーンサンプルの制作も加えますと約4ヶ月くらいでした。オーダーメイドを初めて10数年ですが、その中でも一番向き合う時間が長かったように思います。
こういった機会でないと考えなかったこと、作らなかった道具等沢山勉強させていただきました。

納品時お客様に満足いただけて、サイズが丁度良く収まって本当に良かったです。

以上フルオーダー「腕時計用チェーンバンド」のご紹介でした。